こんにちは、取手東整骨院の木村です。
毎年、夏になると心配になる「熱中症」。
気温が高い日が続くと、室内にいても体がだるくなったり、めまいや頭痛を感じたり…。
「しっかり水を飲んでるのに、なんで?」と不安になる方もいらっしゃるかもしれませんね。
今回は、熱中症になりにくい体を作るための食生活について、「タンパク質」の重要性に注目してお伝えします。
なぜ、熱中症になるのか?
熱中症は、体温がうまく調節できなくなり、体内に熱がこもってしまうことで起きる状態です。
特に、以下の条件が重なると発症しやすくなります。
- 気温・湿度が高い
- 汗をかいて水分・塩分が失われる
- 体調不良や睡眠不足
- 暑さに慣れていない(暑熱順化ができていない)
一般的には「水分と塩分をこまめに取ろう」と言われますが、実は「筋肉量」も大きく関係しているのをご存じですか?
筋肉と水分の深い関係
筋肉は、水分を蓄える“貯水タンク”のような役割も担っています。
私たちの体の中で、最も多くの水分を含んでいるのが筋肉なんです。
そのため、筋肉量が少ないと体に水分をため込んでおく力が弱くなり、脱水状態になりやすく、熱中症リスクが高まります。
特に、以下のような方は要注意です:
- 高齢者(加齢により筋肉が減少)
- 運動習慣が少ない方
- 食が細い、偏食がある方
タンパク質が不足するとどうなる?
筋肉をつくるために欠かせない栄養素が「タンパク質」。
タンパク質が不足すると、筋肉量が減りやすくなるだけでなく、体力や免疫力も低下しやすくなります。
現代の日本人の中には、エネルギー(カロリー)は十分に取れていても、タンパク質が不足している「かくれ低たんぱく」状態の人が多くいます。
特に、朝食を抜く習慣がある人や、サラダ中心の食事をしている女性に多い傾向です。
アルブミンと熱中症の関係
~体の内側から水分バランスを整えるタンパク質~
「タンパク質が筋肉を作り、水分を蓄える」という話に加えて、実はもう一つ、熱中症予防に大きく関わる“体の中のタンパク質”があります。
それが、血中アルブミンという成分です。
アルブミンとは?
アルブミンは、血液中に多く含まれるタンパク質で、以下のような働きがあります:
- 血管内の**浸透圧(=水分を引き込む力)**を維持し、水分が体外に逃げすぎないように保つ
- 栄養素やホルモン、薬などを体中に運ぶ「運搬役」
このアルブミンが少ない状態(=低アルブミン血症)になると、体の中で水分をうまく保てなくなり、脱水状態になりやすくなるのです。
アルブミンが少ない人に起こりやすいこと
- むくみ(血管外に水分が漏れ出る)
- 脱水症状(実際には水分があっても有効に使えない)
- 血液が濃くなり、熱がこもりやすくなる
- 熱中症のリスクが上がる
✅ たんぱく質をしっかり摂ることでアルブミン値が保たれる
アルブミンは肝臓で作られるため、材料となるタンパク質が不足すると、十分に合成できなくなります。
したがって、日常的にしっかりとたんぱく質を摂ることは、アルブミンを安定させる上でも非常に重要。血液の中から水分を守り、体温を調整しやすい状態をキープできるのです。
高齢者では特にアルブミン値が低下しやすく、熱中症や感染症リスクの上昇とも関連があると報告されています。
⚠️ 熱中症になった「最中」に摂取するのは危険!
ここまでは、タンパク質がいかに熱中症予防に役立つかを解説してきました。
しかし、注意していただきたいのが、
実際に熱中症の症状が出ている最中に、牛乳やプロテインを摂取することは避けるべき
ということです。
なぜ危険なのか?
タンパク質の代謝にはエネルギーが必要で、その過程で「熱」が発生します。
これを「食事誘発性熱産生(DIT)」と呼び、タンパク質は特にこの反応が強く、体内での熱の産出量が多い栄養素なのです。
熱中症で体温がすでに上がっている状態で、さらに体内で熱が生まれるとどうなるか…
そう、症状が悪化したり、回復を妨げるリスクがあるのです。
具体的なリスク例:
- 体温上昇が止まらず、意識障害やけいれんに至る可能性
- 吐き気・胃もたれ・嘔吐など消化器症状の悪化
- 水分補給や電解質補給が遅れることで、脱水が進行
専門家の見解も
医師による指摘でも、熱中症発症時の牛乳やプロテイン摂取は危険とされています(参考:PRESIDENT Online)。
熱中症予防におすすめのタンパク質食材
日々の食事で、意識的にタンパク質を取ることが重要です。
以下のような食品をうまく組み合わせると、バランスよく摂取できます。
食品群 | 具体例 | ポイント |
---|---|---|
肉類 | 鶏むね肉、豚ロース、牛赤身など | 良質なたんぱく源。脂身は控えめに。 |
魚介類 | 鮭、サバ、しらす、ツナなど | ビタミンDやオメガ3も豊富。 |
卵 | ゆで卵、オムレツなど | 消化がよく、朝食にも◎ |
大豆製品 | 豆腐、納豆、厚揚げ、豆乳など | 毎日取り入れやすい植物性たんぱく |
乳製品 | ヨーグルト、チーズなど | カルシウムも同時に補える |
※牛乳も紹介されることがありますが、合う・合わないがあるので、自分の体調と相談して取り入れましょう。
たんぱく質だけじゃダメ?ビタミンとミネラルも大事!
筋肉を維持・合成するためには、ビタミンB群(特にB1・B6)やビタミンCも欠かせません。
また、汗で流れ出るナトリウム(塩分)やカリウム、マグネシウムなどの電解質ミネラルも補う必要があります。
これらを効率的に摂るには?
- 味噌汁(具だくさん):塩分・水分・野菜を一度に補える
- フルーツ(キウイ、バナナ、スイカ):カリウムやビタミンが豊富
- 雑穀ごはん:B群やミネラルが多い
- 梅干しや漬物:ナトリウム補給に少量をプラス
水分補給は「喉が渇く前に、こまめに」
筋肉量や栄養が整っていても、水分が足りなければ熱中症は防げません。
特に、高齢者や子どもは喉の渇きに気づきにくいため、時間を決めてこまめに水分を取る習慣が大切です。
夏場は以下のような補給が理想です:
- 起床後すぐにコップ一杯の水
- 外出前・帰宅後の水分補給
- 食事中・入浴後にも水かお茶を一口
- 汗をかいた時は塩分も一緒に(経口補水液なども有効)
忙しい人におすすめ!手軽に取り入れる食事習慣
「毎日バランスよく食べるなんて無理…」という方でも、以下のような工夫なら続けやすいです:
- 朝にゆで卵+バナナ
- 昼に納豆+味噌汁を追加
- 夜は肉か魚を一品プラスしてご飯を軽めに
- おやつ代わりにプロテインバーや豆乳飲料
まとめ:食事と筋肉づくりが、熱中症予防の土台になる
熱中症対策というと「水分補給」ばかりが注目されますが、体そのものを“暑さに強くする”ことが、本質的な予防につながります。
その土台となるのが、筋肉と栄養。
特にタンパク質は、熱中症対策だけでなく、疲れにくい体、元気な毎日のためにも欠かせない栄養素です。
この夏は、食事を見直して「熱中症に強い体づくり」を始めてみませんか?
当院では、日々の身体のケアとともに、
食事や栄養、生活習慣についても一緒に考えるお手伝いをしています。
「今年は暑さに負けたくない」
「夏バテしない体をつくりたい」
そんな想いのある方は、どうぞお気軽にご相談くださいね。
📌 参考記事
