先日、娘と一緒に田んぼで稲刈りをしていました。
すると、娘が一匹のトノサマガエルを見つけました。
「カエルいた!」
娘が捕まえてみると、そのカエルはびっくりするほど動きません。
足をピンと伸ばしたまま、じーっとしています。
まるで「死んだふり」をしているようでした。
「カエルって、こんなことするんだ!」
と、私も少し驚きました。
実は、トノサマガエルには、危険を感じたときに「逃げる」だけではなく、「動かなくなる」という行動があることが研究されています。
カエルにとっては、自分の身を守るための方法の一つなのかもしれません。

危険を感じると、身体はどうなる?
私たち人間の身体にも、危険を感じたときに自分を守る仕組みがあります。
例えば、目の前に怖い犬がいたら、
「逃げなきゃ!」
と思いますよね。
すると身体は、すぐに動けるようになります。
・心臓がドキドキする
・呼吸が速くなる
・身体に力が入る
・汗をかく
・周りを警戒する
これは、身体が「今は危険だ!」と判断して、逃げたり戦ったりできるように準備しているからです。
「危ない!」
と身体が感じると、
「すぐに逃げられるようにしよう」
「立ち向かえるようにしよう」
と、身体が準備をするのです。
これには「交感神経」という自律神経が関係しています。

危険を感じたら、逃げるだけ?
ところが、生き物の防衛反応は「逃げる」だけではありません。
今回のカエルのように、
「動かなくなる」
という反応もあります。
実際、トノサマガエルには、危険を感じたときに「逃げる」だけではなく、「動かなくなる」という防衛行動があることが研究されています。
つまり、
「動かない=休んでいる」
とは限らないんです。
危険から自分を守るために、動かなくなることもある。
これは、とても興味深いことだと思いませんか?
人間も、怖すぎると「固まる」
実は私たち人間にも、似たような反応があります。
突然、大きな音がしたとき。
思いがけない出来事が起きたとき。
ものすごく怖いことが起きたとき。
一瞬、
「えっ……」
となって、身体が固まった経験はありませんか?
頭が真っ白になる。
声が出ない。
身体が動かない。
何をしたらいいのかわからない。
これも、危険を感じたときに起こる身体の反応の一つです。

そして、現代の私たちの場合は、少し違った形で「身体が動かなくなる」こともあります。
仕事。
人間関係。
家庭。
将来への不安。
「頑張らなければ」と思いながら、長い間ストレスを抱えている。
最初は、
「頑張らなきゃ」
と動けていたのに、だんだん疲れてきて
「もう何もしたくない」
「考えるのも嫌だ」
「身体が動かない」
となってしまうことがあります。
もちろん、こうした状態にはいろいろな原因があり、すべてを自律神経だけで説明することはできません。
ただ、
「身体には、危険や強いストレスから自分を守るために、活動を落とすような反応もある」
という視点は、とても興味深いものです。
では、「ここは大丈夫」と感じたら?
反対に、
「ここなら大丈夫」
「この人と一緒にいると安心する」
「もう少し休んでもいい」
そんなふうに感じられるとき、私たちはどうでしょうか。
呼吸が落ち着きます。
身体の力も抜けやすくなります。
人と話したり、笑ったりできます。
ご飯を食べたり、眠ったりすることもできます。
好きなことを楽しんだり、新しいことに興味を持ったりする余裕も生まれます。
つまり、
「危険から身を守ること」だけではなく、
「人とつながる」
「休む」
「食べる」
「眠る」
「楽しむ」
といった、普段の生活を送ることがしやすくなるのです。

「安心」と身体には関係がある
こうした「危険から身を守るための身体の反応」を考えるとき、私が興味深いと思っているのが「ポリヴェーガル理論」です。
アメリカの神経科学者、スティーブン・ポージェス博士が提唱した理論です。
ものすごく簡単に言うと、
「私たちの身体は、周りの環境が安全なのか危険なのかを感じ取り、その状況に合わせて身体の状態を変えている」
という考え方です。
ここで大切になるのが「迷走神経」という神経です。
迷走神経は、脳と心臓や肺、消化器などをつないでいる大切な神経の一つです。

ポージェス博士は、この迷走神経を含む自律神経の働きについて、従来の「交感神経と副交感神経」というだけではなく、
「危険なとき」
「安全なとき」
に身体がどのように反応するのか、という視点から考えました。
では、「安心している」ときは?
ここが、今回私が一番伝えたいところです。
危険を感じたときには、
逃げる。
戦う。
動かなくなる。
など、身体は自分を守るためにさまざまな反応をします。
では、その反対に、
「ここは安全だ」
「この人と一緒なら大丈夫」
「もう頑張らなくてもいい」
と感じられるとき、身体はどうなるでしょう?
呼吸がゆっくりになる。
身体の力が抜ける。
表情がやわらかくなる。
人と話したくなる。
周りのことに目を向けられる。
ご飯を食べたり、眠ったり、身体を回復させたりすることもしやすくなります。

ポリヴェーガル理論では、このような安心・安全な状態や、人とのつながりを感じられる状態と「腹側迷走神経系」の働きを関連づけて考えます。
「腹側迷走神経系」という言葉は難しく聞こえますが、まずは、
「安心して人とつながり、周りの世界に目を向けられるような状態」
とイメージしてみてください。
不調があるときこそ、「安心」が大切なのかもしれない
ここからが、私が今回の話をブログに書こうと思った一番の理由です。
整骨院には、身体に痛みや不調を抱えた方が来られます。
肩が痛い。
腰が痛い。
頭が痛い。
身体が重い。
長い間、不調が続いている。
そんな方も少なくありません。
そのとき、
「痛いところを何とかしなければ」
と考えるのは当然です。
もちろん、身体の状態を確認して、必要な施術を行うことは大切です。
でも、それだけではないのではないか。
私はそう考えています。
痛みや不調を抱えている人にとって、
「ここに来るとホッとする」
「話を聞いてもらえる」
「自分の身体のことを分かってもらえる」
「ここなら大丈夫」
と思えることも、大切なのではないでしょうか。

身体を整えるのは、身体に何かをすることだけではない
身体は、機械のように、
「痛いところを直せば、それで終わり」
というものではありません。
毎日の生活があります。
仕事があります。
家族との関係があります。
人とのつながりがあります。
そして、「安心できるかどうか」ということもあります。
だからこそ、身体を整えていくときには、
「身体に何をするか」
だけではなく、
「身体がどんな環境にいるのか」
ということも大切なのではないでしょうか。
私たちが目指している整骨院
今回、娘とカエルを捕まえたことで、そんなことを改めて考えました。
カエルにとって、危険を感じたときに動かなくなることは、自分の身を守るための方法なのかもしれません。
人間にも、危険やストレスを感じたときに、身体がさまざまな反応をする仕組みがあります。
だからこそ私は、
「身体を整える」ということは、身体に何かをすることだけではない
と思っています。
「ここなら大丈夫」
そう感じられる場所をつくること。
安心して話せる人がいること。
自分の身体を安心して任せられること。
それもまた、身体を整えていくための大切な環境なのではないでしょうか。
取手東整骨院は、
「痛みを取るために行く場所」
だけではなく、
「ここに来ると安心する」
「自分の身体と向き合ってみようと思える」
そんな場所でありたいと思っています。
身体の不調で悩んでいる方にとって、
「ここなら大丈夫」
と思える場所の一つになれたら。
私は、そんな整骨院をつくっていきたいと思っています。

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